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2018年2月26日月曜日

現代の「怖い話」に関する考察

■現代の「怖い話」について考えてみた









最近、ネットに掲載されている創作系の「怖い話」を色々と読んでみました。


●読んだ作品リスト


「くねくね」
「八尺様」
「リゾートバイト」
「姦姦蛇螺」
「禁后-パンドラ」


…この辺りが有名らしいとのことです。


私は基本的に幽霊は信じない性分なので、こういった話は「ちゃんと怖いか」といった判断基準で良し悪しを決めています。


悪く言えばちょっと冷めた視点で作品を読んでいる感じですね(笑)


先ほど述べました作品以外にも幾つか読んでみたのですが、本音を言いますと「似たパターンの物語が非常に多い」と感じました。


この議論は他のサイトでも頻繁に行われているみたいですが、とにかく同じ作風の話が多かったので、ある意味これが現在の傾向なんだと勝手に解釈。


そのパターンを幾つか述べると…


1・御払いをしてくれる神主さんや御坊さんが優秀






何百年も祟るような魔物や霊を相手にする割には、中途半端な装備や道具で簡単に除霊できることに違和感を感じました。



確かにこうしたスーパーな能力を持った人が現れるのは、物語を進行する上で必要なのかもしれないですが、あまりに優秀すぎて逆に「それでいいのかよ?」と思ってしまいます。



2・両親、親戚が祟られた理由を知っている





親や親戚に「なんでそんなことをしたんだ!」とか、「自分のしたことが分かってるのか!」みたいに必ず怒られます…というかキレられます



例えば絶対に動かしてはいけないものを動かしたとか、見てはいけないものを見てしまったというような、ありふれたパターンですね。



前者はじゃあ地震が起きた時はどうするんだと思いますし、後者は見てしまって体に異変が起こるくらいなら、事前に学者か専門家になぜ相談しないのかと腹が立ちます。



それほど危険ならキレる前に対策ぐらいしておけと言いたい。



3・とにかく被害者意識が強すぎる







これは大体の作品にあてはまるのですが、登場人物のほとんどは「降って湧いた災難」の被害者となります。



ようるするに主人公も含めて何も悪いこと(例えば生き物を殺すなど)をしていないのに、なぜか悲惨な出来事だけは起こるといった感じですね。



確かに呪いの原因がはっきりしないのは読んでいて不気味さが増しますが、あまりにそのパターンが多いと閉口しますし、最後には先ほど述べたスーパーな霊能力者を連れてこないと解決しない問題ばかりなので、約束事が多すぎて気持ちが冷めてしまいます。



…それに、主人公の被害者意識がとっても強い



「俺は何もしていないのに、何故悪いことばかり起こるんだ!」みたいな、自力で解決できない話が多いような気がします。



あまりこの傾向ばかりが強すぎると、感化されて変な宗教にはまる人が続出しそうで、そっちの方がかえって怖いです(あくまで私の勝手な想像ですが)。



■映画『リング』によるジャパニーズホラーの影響






こうした災厄や呪いに対して、はっきりした原因を設けなかったことで有名な作品が、映画『リング』だと思います。


あの作品はビデオテープの内容を見ただけで呪われるという、まさに降って湧いたような災難に見舞われることで、物語の束縛を強めている感じです。


特に映画に登場したキャラクター「貞子」の存在感は強烈。


貞子に恐怖するのは「容姿が怖い」という理由だけではなく(それに、あの容姿は映画が上映された時に初めてお披露目されましたしね)、本当に怖いのは「この人は何に対して恨みを抱いているのか分からない」という点なので、そのことを踏まえると、現在の怖い話は映画『リング』のセオリーを継承しているのかもしれません。


…ただ、少し苦言を呈するなら、現代の怖い話は「生き物を傷つけてはいけない」とか、「人を悲しませてはいけない」という“道徳的”な含みがかなり薄い


幽霊は“悪いことをした”人間に祟るというお約束を、書けないのか意図的なのかは分かりませんが、どこか避けているように感じます。


こうした「本質的な恨みを買う」という心情を物語に盛り込むには、他人の気持ちを汲み取る能力がなければ表現が難しいため、穿った見方をすれば、そうした心情を書ける人が減っているのかもしれません。


それともベタな設定が気恥ずかしいのでしょうか?


例えそうだとしても、人間の心情をキチンと盛り込んだ作品はとても怖いので、流行から逸脱してその手の作品が出てきても良いような気がします。
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