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2018年3月1日木曜日

映画の中の北欧神話:映画『マイティ・ソー』の世界

■戦い大好きな北欧神話の世界:映画『マイティ・ソー』





映画『マイティ・ソー』の主人公である「ソー」さんは、北欧神話で登場する雷の神様のことです。綴りが「Thor」なので英語読みで「ソー」と読みますが、日本での馴染み深い呼び名は「トール」となっております。

「ギリシャ神話は知ってるけど、北欧神話なんて知らないよ!」と、怒りを露わにしているあなた、ご安心下さいませ。ここでちょっとだけ北欧神話のことをドヤ顔で語ってみたいと思います。

…読むのが面倒なら親か学校の先生にでも聞いてください。要約して3分くらいで語ってくれますよ(「知らねぇよ」と言われても保証はしませんが)!

■そもそも北欧神話って何さ?




北欧神話とは、北ヨーロッパと東ヨーロッパに住んでいたゲルマン民族の神話のことです。


古代ゲルマン人の生活圏は北ヨーロッパ(いわゆる北欧ですね)に留まらず非常に広範囲に及んでいましたが、北にあったゲルマン人の土地にキリスト教が侵攻したのが比較的遅かったので、神話の信仰がずっと残っていました。

そういった訳で便宜上、この神話を「北欧神話」と名付けています。

北欧神話が特徴的なのは、登場する神様が永遠の命を持つ者ではなく、最終戦争の「ラグナロク」というイベントで戦って滅びる運命にあります。このラグナロクにはソーや後に説明するオーディン、ロキも深く関わります。

特に北欧神話の最高神であるオーディンは戦争が大好きな神様なので、神話全体がとにかく戦闘、戦闘の連続で、かなり残酷なお話となっています。

何せこの神話を主に信仰していたのが、勇猛なヴァイキング(海賊)の男たちでしたから、内容が過激なのも納得できますね。

■主人公のソーさん



ソーは最高神であるオーディンの息子です。これは映画でも設定は変わっていませんよね。

風貌は神話に登場する巨人族に似ています。北欧神話最強の戦いの神と呼ばれるだけに、性格は乱暴で戦闘大好きです。


日本の戦国時代で武将が他の領地に戦いに赴く時、戦神が祀られる神社などで戦勝祈願をしますが、おそらくこのソーさんも同じような役割を担っていたのだと思います。

「戦神ソーの名にかけて!」みたいなノリで。

「じっちゃんの名にかけて!」と似た感じのノリです。

このソーさんですが、庶民層にも人気のあった神様なので、その信仰範囲はかなり広かったソーです。日本の恵比寿さんや大黒さんみたいに親しまれており、実は最高神オーディンよりも同格以上の立場だったソーだとか。

武器は雷を意味するムジョルニア(ミョルニル)という魔法のハンマーです。

同じ雷を扱う神様で有名なのがギリシャ神話の最高神ゼウス、ローマ神話の主神であるユーピテルなどがいますが、これらの神様と同一視されることもあるそうです(ようするに、天空を支配する神様はどれも強いってことですね)。

このムジョルニアは投げたら必ず相手に命中し、その後、持ち主のもとへ帰って来ると言われているため、糸の付いていないヨーヨーみたいな武器だと思ってください(あっ、糸が付いてないと戻ってこねぇか…ま、まあイメージとしてはそんな感じ😓)。

映画の設定で後に紹介するロキとは義兄弟の関係ですが、北欧神話では映画と違って「大の親友」です。性格が荒々しく直情型なのに、何故かロキとはウマが合い行動を共にします。


そのおかげで災難に巻き込まれることもしばしば…もちろん助けてもらうこともあったそうですが、基本的に騙されることが多かったそうです。

最終戦争であるラグナロクでは、大蛇のヨルムガンドと一騎打ちとなり勝利を収めますが、毒液を浴びてしまい命を落とします。

■問題ばかり起こすロキさん



霧の巨人族のファールバウティとラウヴェイの息子です。巨人族と神族は対立していましたが、ロキだけはオーディンと義兄弟の契りを交わし、神々の仲間として暮らします。立場が非常に特殊な神様です。


見た目は端正(イケメン)な顔をしていますが、性格は邪悪で嘘ばかりつきます。親友であるソーまで困難な状況に追い込みますから、味方しているように見えても、決して心を許してはいけない神様なのです。


…この性格が災いしてか、最終戦争であるラグナロクも、このロキがキッカケとなり勃発します。

先にも述べましたが、このラグナロクはまさに神々の王国崩壊の戦争であり、生き残った者もごく僅かなので、北欧神話の中の悪役としてロキほど印象的なキャラクターは他にいません。

その悪さたるやピンポンダッシュの比ではないでしょう。

ロキはラグナロクで神々の軍団と対決し、最後はヘイムダルという神と相打ちとなって命を落とします。

■ソーの父ちゃんであるオーディンさん



オーディンは北欧神話の最高神。魔術と知識の神であり、戦いの神であり、死の神です。

特に「知識」に対しては貪欲な神様で、知恵の泉であるミーミル(決してミルミルではない)の水を飲みたいがために、自分の片目を捧げるほどの勉強家なのです。

今の時代ならネット中毒なること間違いなしでしょう。

またユグドラシルという大樹で首を吊り、所有する武器であるグングニルの槍に突き刺されたまま、九日九夜の間「自分」に生贄を捧げるという(一応、オーディンは北欧神話の中で最高神なので、自分以上の神様は存在しないと思い込んじゃっています)、何ともエキセントリックな方法でルーン文字の秘密を暴き出しています。

…そこまでする前に「まずググれ」とアドバイスしてあげたい。

この神様はとにかく戦争が大好きで、自軍の兵を増やしたいがために、まだ生きている勇者を殺したり、国同士で喧嘩させ戦争まで引き起こします。権力者には歓迎された神様ですが、この通りの性格なので「死の神」と忌み嫌われた側面も持っています。

映画では心優しいお父さんといった感じですが、その実は死の間際まで戦うことを望んだ激情型の神様です。

まさに北欧神話を象徴するような神様であり、ソーやロキに劣らず、強烈な印象を残すキャラクターと言えます。
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