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2018年3月8日木曜日

映画『CUBE』のサバイバル術

■もしあなたが映画『CUBE』の世界に放り込まれたら






■作品概要


奇抜なストーリー、斬新なビジュアル・センスで話題となったカナダ産異色サスペンス。謎の立方体(=CUBE)に閉じこめられた男女6人の脱出劇を、緊迫感漲る演出で描く。ゲーム感覚の謎めいた物語やシュールな美術・SFX等を駆使し、人間の闇部を抉った秀作。ある日突然、密室に閉じこめられた6人の男女。それは正方形の巨大な立方体だった。いったい何のために作られたものなのか、なぜ自分たちが閉じこめられたのかは誰も知らない。脱出方法は6つあるハッチのいずれかを選び、同じ立方体でつながっている隣に移動しながら出口を探す以外ないが、いくつかの部屋には殺人トラップが仕掛けられていた。そんな中、やがて彼らは安全な部屋を示す“暗号”に気づくが・・・。

※ここからはネタバレを含みます。記事を読む前に映画を鑑賞することをオススメします。

■自分が「CUBE」に入れられたと仮定してみる

1・一般人がCUBEに放り込まれた!

もし自分が突然、裏社会に暗躍する組織に拉致され、迷宮施設「CUBE」に連れて行かれた場合、そこで生き残る可能性はどのくらいあるかを考えてみました。

普通の人が持つ「スキル」を考慮した上で、何の特技や思考力が必要なのかを考察してみます。

…まず、この映画で重要なスキルは「数学の知識」です。

しかし、私たち一般人が「素数」や「因数分解」や「デカルト座標系」の事をどれだけ知っているでしょうか?

日常生活において、これらの知識はほとんど必要ありません。何らかの開発に関わっているのならまだしも、買い物の際にお釣りを計算するくらいしか数学を活用しませんよね。


こう考えてみると、我々が生き残る可能性は10%未満でしょう。いや、運が作用すれば20%くらいに跳ね上がるかもしれませんが、大抵の人間は他の部屋へ移動して罠の餌食となり“ゲームオーバー”になります。




…では、罠があると理解した上で、まずどういった部屋を最初に怪しむか考えてみます。私は第一に避けようと思うのは「赤い部屋」です。

単純な考え方かもしれませんが、色の印象は大きいと思います。しかし、映画では「赤い部屋」が危険だという法則は存在しません。「そんな簡単じゃないぞ」といったところでしょうか…ここで私は再び“ゲームオーバー”となります。

次に考えるのは「罠があるかどうかを探る」という方法です。これは登場人物であるレンが、靴を部屋に放り込んで罠があるかどうか確かめていましたね。私もこの行動には賛成するでしょう。

靴でなくとも、服を投げるなどして確かめたかもしれません。しかし結果は映画を観てご存知のとおり、レンは強酸を浴びて死にました。ここで私も三度“ゲームオーバー”になります。

2・ナンバープレートを見つけて

次に、各部屋にあるナンバープレートから罠を避ける法則を導き出します。学生であるレブンが、ナンバープレートに「素数」が含まれている場合、次に移動する部屋に罠が仕掛けられていると推測しました。

後にこの法則は崩れ去るのですが、言っていることはあながち間違っていないため、途中までは無事に移動することができます。

…ではそもそも「素数」とはどういったものなのでしょうか?

素数とは正の約数を持たない、1以外で割ることのできない自然数です。ナンバープレートに刻まれているのは999以下の数字であることから、ようするにそこまでの素数をすべて頭に叩き込めば良いのです。

1,000以下の素数はこれだけあります。

2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41, 43, 47, 53, 59, 61, 67, 71, 73, 79, 83, 89, 97,101, 103, 107, 109, 113, 127, 131, 137, 139, 149, 151, 157, 163, 167, 173, 179, 181, 191, 193, 197, 199, 211, 223, 227, 229, 233, 239, 241, 251, 257, 263, 269, 271, 277, 281, 283, 293, 307, 311, 313, 317, 331, 337, 347, 349, 353, 359, 367, 373, 379, 383, 389, 397, 401, 409, 419, 421, 431, 433, 439, 443, 449, 457, 461, 463, 467, 479, 487, 491, 499, 503, 509, 521, 523, 541, 547, 557, 563, 569, 571, 577, 587, 593, 599, 601, 607, 613, 617, 619, 631, 641, 643, 647, 653, 659, 661, 673, 677, 683, 691, 701, 709, 719, 727, 733, 739, 743, 751, 757, 761, 769, 773, 787, 797, 809, 811, 821, 823, 827, 829, 839, 853, 857, 859, 863, 877, 881, 883, 887, 907, 911, 919, 929, 937, 941, 947, 953, 967, 971, 977, 983, 991, 997

…結構な量ですが、数学を専攻している学生なら覚えられない事はないと思います。仮に自分がこの素数をすべて覚えているのであれば、生き残る可能性は30%まで跳ね上がるかもしれません。

しかし先にも述べたとおり、この法則は呆気なく崩れ去るので、このスキルはあまり意味がなくなります

3・部屋の総数を知って



レブンがナンバープレートを見て、「これはデカルト座標系よ!」と叫びます。何も「デカルト」をつけなくても、普通に「座標」と言えば済む話ですが、まあそれは置いておきましょう。

デカルト座標系とは「X軸、Y軸、Z軸」で位置を数値化した方法です。2次元の表記なら「X軸、Y軸」で示します(身近で思い付くものは「地図」がありますね)。

CUBEは3次元なので、「X軸、Y軸、Z軸」を用います。これが各部屋に置かれたナンバープレートが持つ「数字」の意味です。

部屋の各辺の大きさやCUBEの設計構造などから、レブンが色々と推測しますが、ここでまず問題にしたいのが「部屋の総数」です。

座標系から導き出した部屋の総数を計算しますと、26×26×26=17,576…になります。

17,576…17,576…いっ、いちまんななせんごひゃくななじゅうろく!?

どう考えても無理でしょ、そんな膨大な数の部屋がある施設を作るのは。いくら財産のある組織であっても、理由も明確にされてない建築物にそんな愚かな投資するか?

例え施設の中央部分がスカスカであったとしても、膨大な数であることに変わりはないため、「ちょwwそんな数の部屋あるワケねーだろ」くらいの一言はあっても良さそう。

…しかし、この疑問は何の足しにもならず、登場人物もこの「17,576」という数字をすんなり受け入れます。もう感覚的に麻痺しているのかもしれません。恐ろしい状態だと思います。

4・カザンは天才か?

先にも述べましたが、素数のある部屋を避けても罠がありました。後にレブンが導き出したのは「因数の個数が1つである場合」の部屋も罠が仕掛けられているというものです(例:841=29^2、512=2^9)。

これは電卓がなければ計算できないとレブンは匙を投げます。しかし、カザンが容易く計算したので、「こいつは天才だ」と皆が思ったのです。では1,000以下の「因数が1つしかない数字」とは、一体どれだけあるのでしょうか?

…残念ながら調べても載っているサイトが見つからなかったので記載は断念しますが、それほど多くはないと思いますので、こちらも記憶は可能だと思います(でも単純に素因数分解をコツコツとやれば、実は計算機なしでも導き出すことができますけどね)。

※以下は映画「CUBE」の考察サイトになりますので参考に掲載しておきます。かなり映画を小バカにしている内容なので、読んで気分を害しても責任は持ちません(笑)


5・結局は人

この映画で生存率を著しく下げている原因が「人」にあります。暴力的なクエティンは、はっきり言って最大の障害です。罠よりもタチの悪い存在だと思います。

また、カザンも制御できない傾向にあるため、部屋から部屋へと渡り歩くには障害となるでしょう。最後に生き残ったのがカザンというのは奇跡だと思いますが、何となく皮肉も込められているようでスッキリしませんね。

「最初にいた部屋から動かない」が正解だったというのもありますが、果たして我慢できる人間がどれだけいるでしょうか?

あのような極限状態の中、人が正常の状態を保っていられるのは事実上不可能だと思います。発狂する人間が現れても不思議ではありません。

映画を見ても分かるように、最後は殺し合いのような状態で幕を下ろします。「結局、怖いのは人だよ」と言いたいのかは分かりませんが、あのグループの生存者が一人というのは少し残念に思います。

参加していたら、恐らく自分も助かってはいなかったでしょうね。CUBEの目的って、外部の関係者が映画『ハンガー・ゲーム』のように、中にいる人間の殺し合いを見て楽しむ施設だと思うのですよ(あくまで1作目に限定した感想です)。

…そういった意味では、ほぼ脱出が不可能かなと。後は施設を破壊することに集中するか、逃げ続けるかのどちらかになると思います。
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