記事をシェア

2019年4月5日金曜日

推理小説好きが『ダンガンロンパ』シリーズを語る



※この記事はネタバレが含まれていますよ!
ゲームをクリアしていない方はサイトを閉じてくださいね。





先日のことですが、PS4の『ダンガンロンパv3』をクリアしました。


「今さらかよ!」と思われるかもしれませんが、発売日に買うようなコアなファンでもないため、セールがあった日に手に入れクリアした次第です。


…とはいえ、このゲームを楽しみにしていたことには間違いなく、前作(ダンガンロンパ1・2)も当然遊んでいます。


しかし荒れてますね、Amazonのレビュー。


クリアして分かったのですが、メタ要素に耐性のない人は怒り狂うエンディングかもしれません。


私はそれなりにゲームを遊んできた世代なので、メタ要素にある程度は耐性があり、「まあ、これは怒るかもね」という若干冷めた反応でしたね。


ゲームの途中でなんとな~くユーザー側を巻き込むような雰囲気があったので、エンディング後もそれほど驚きはありませんでした。


…しかし、それではあまりにこのゲームを愛していないように聞こえるじゃないか。


「もう少し感情的になっても良いんでない?」と言われそうなので、ちょっくらキーを叩いて今は文章を書いています。


この記事では『ダンガンロンパv3』の感想と考察を述べ、少しだけ運営企業(チームダンガンロンパ)を挑発してみようと思います。


■そもそも『コロシアイ』は必要ない





第6章でまさかの『フィクションオチ』というパンチをかましてきた今回の内容ですが、要約すれば「こんなゲームを楽しんでいるヤツなんて最低だよね」という意図を制作側が伝えたいことが分かります。


コロシアイを楽しんでいる人がいるから私たちがこの世界を作った。
 ▼
でもフィクションなので物語の内容なんてどうにでもなる
 ▼
だからキャラクターの立場や感情は私たちが設定したもの
 ▼
そんな「嘘」の世界に感情移入しているユーザーはバカだねぇ
 ▼
だけど人気シリーズだからコロシアイさせてトコトン盛り上げちゃうよ!


みたいなことを6章のほとんどを使って延々と説教されます。


まさに今までの作品すべてを否定するような内容なので、これにユーザー側が激怒し、Amazonのレビューに低評価が連発することとなりました。


こういう挑発行為は良くある話で、ゲームで例えれば最も古いもので『たけしの挑戦状』の「こんな げーむに まじに なっちゃって どうするの」というエンディングの言葉もそれに該当します。


もう続編を作る気がないのかは分かりませんが、世界観や今までの設定を全否定したため、次の作品に感情移入しろというのが無理な話。


低評価を押した人に「そう怒るなよ」と言いたいところですが、放り投げがハンパないため、立て直すにはかなりの時間を要するかもしれません。


…でも、このシリーズって『コロシアイ』を見たい人が多いから人気作でしたっけ?


●そもそも『コロシアイ』の設定がなくても面白い
●謎解きや推理ゲームを楽しみたい人が多数を占める
●残酷な拷問シーンは必要ない
●キャラクターゲームだから人気が高い
●ユーザーが変態ではなくて制作側が変態


冷静に考えると以上のような結論に達する気がします。


■『ファークライ3』Vaas様の魂の叫びを聞け!





※こちらもゲームのネタバレについて語っているためご注意ください!


私がここ最近、遊んでいたゲームの中で衝撃を受けたのは『ファークライ3』でした。


こちらも『ダンガンロンパv3』のようなメタ要素が含まれており、それが自然の流れで知ることになった時は「うわ…俺って異常な人間かも」と深く考えさせられました。





このゲームのヴィランであるVaas(ヴァース)という人物がいますが、この敵役が語るセリフの中にこのようなものがあります。


「狂ってるって意味がおまえには分かるか?本当に狂ってるヤツは変化を信じて同じことを何度も何度も繰り返すのさ。それが異常とも知らずにな」


ファークライ3は外界から閉鎖された島の中で殺し合いを行うゲームですが、こうした要素は多くの作品にあり、近年では『PUBG』や『Fortnite』などにも受け継がれています。


また『殺し合い』だけでなく、道中では無線機を直したり敵の拠点を制圧したり動物を狩って素材を収集したりと、やることは山積みなのが特徴的です。


ただ相手を倒すという目的であれば少ない時間でクリアできそうですが、オープンワールドという性質上、マップ全体を把握してみたいという欲求に駆られることは当然のこと。


実際はストーリーを中心に進めるというより、「ミッションを受ける→目標の場所に行く→敵を倒して制圧→無線機を直してマップを開放→装備を整えて次の拠点へ→ミッションを受ける」という繰り返しになります。


その繰り返しがピークに達した時、上記のセリフを突き付けられるため、悪戯に時間を消費している虚しさを実感することになるのです。


この『殺し合い』への参加は、ダンガンロンパの『コロシアイ』とは違い、ユーザーが自ら望んで参加するもの。


ユーザー側のニーズと制作者側のニーズがしっかり噛み合っているからこそ、あのセリフが脳裏に焼き付くのだと思います。


■コロシアイしなくても大丈夫だよ~(アンジー風)





…ではここからが本題(遅いよ)


もともと私が『ダンガンロンパ』に興味を持ったキッカケは、「推理モノ」「謎解き」の要素を期待したからです。


コロシアイや拷問シーンがあるから遊んでみたいと思った訳ではありません。


この点はユーザーと制作側で多少のズレがあると考えられ、逆に過激なシーンを入れないで勝負してみてはどうかと言弾を撃ち込みたくなります。


それに、学級裁判に向かう前の証拠集めはかなり”順当”です。


例えば「足りない証拠があった」などの危機感がないため、議論が成立しなかったというような過失がダンガンロンパにはまだまだ少ないような気がします。


これは同じ系列にある『逆転裁判』にも言えることなので、こうした議論システムはまだまだ発展途上の段階にあると考えられるのです。


私がゲーム中に最も悔しがることは、登場人物のセリフを覚えていなかった時です。


何気ない会話の中に重要なことが含まれていた場合、そのことに気が付かなかったことへ悔しさを覚えます。


ダンガンロンパは比較的親切ですから、「ここでこういうことを言っていた」という内容を後で説明してくれるため、謎解きがスムーズに進みます。


物足りないと言ってしまえば身も蓋もありませんが、裏を返せば新しい謎解き要素を作れる余地があるということです。


またセリフだけでなく、人物の仕草や捜査時間の制限、アクティブな時間の流れ、証拠品の違和感など複雑な要素を取り込めば、議論システムはさらに磨きが掛かるような気がします。


『ダンガンロンパv3』で評判の良かった『議論スクラム』も、この一作品で終わるのは惜しいと思いますし、単に言葉合わせで論破するだけでなく、証拠品などを絡めた議論をスピーディーに展開しても良いかと思います。


…つまりは何が言いたいのかと申しますと、「続編に挑戦しても良いんでない?」ということです。


もしくは設定や世界観をブラッシュアップし、新しい議論システムを生み出したゲームに期待したいところです。


またスパイク・チュンソフトの伝統なのか、ここの制作会社は『閉ざされた空間』を表現することがとても上手い。


代表作である『かまいたちの夜』の衝撃は凄まじく、閉ざされた空間での人の心に潜む「疑心暗鬼」を徹底的に表現し、誰もが一度は到達するであろうバッドエンドの絶望感は他の推理ゲームの比ではありません。


残念ながら、ダンガンロンパの制作者の多くがスパイク・チュンソフトを退社しているため、続編が誕生するかは分かりませんが、いつかは『ダンガンロンパv3』で離れたユーザーを取り戻すことにチャレンジして欲しいですね。





「にしし、あんな終わり方で頭が悪いと思われてるんだからさ~、もっと面白い作品を作ってみなよ」(王馬小吉)
Share This To :
 
Back to top!