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2019年7月11日木曜日

完全食だけで生きていくことはできるのか?



食事をやめるという独特な生活スタイル


※以下は2019年に掲載した内容です

以前、こんな記事の内容が話題となりました。

東京大学を卒業、大手IT企業に勤務するエリートサラリーマンの笠原元輝さん(30)は、普通の人のような食事はもう1年間とっていないという。多忙を極める生活の中、効率を求めてたどり着いたのが、食事をやめるという生活スタイル。

つまり、食事をする時間がもったいないという理由で、数秒で栄養が補える『完全食』による生活を選択したという訳ですね。

「食事をしないので周りからは変だなと思われているが、最終的に出てくるアウトプットは大便だ。食事にお金を使うということは、いくらでうんこを買っているのかという話になる。"おいしい"と思う感情もあるが、限られた予算の中で、ひとときの感情のために使いたくはない。もっと有益なことにお金を使いたい」
 
「大便を買っているだけ」という発想にツッコミを入れるかはともかく、人生の大半は食事に費やすことが多いため、一部では納得できるものがあります。

現在の完全食は、技術の進歩により効率良く栄養を摂取することが可能です。

食事は一日に”朝昼夕”の3回あると考えれば、浪費する時間も平均的に2~4時間、食費は2,000円以上を必要とするはずです。

完全食の生活は1回で1分ほどで済みますし、食費も大幅に軽減されるため理には適っています。

食事の時間をもったいないと感じるかは本人の感性によりますが、笠原元輝さんは「無駄」と判断したのでしょう。


……実は私も少しだけこの生活を考えたことがあります。

今は通常の食生活になっていますが、忙しい時は「食事の時間や食費は無駄ではないか?」と本気で思いました(特に食費の面で)。

サプリメント摂取による完全食の生活に挫折した理由は、私の場合「美味しいものを食べたい」という欲求が勝ったからです😅

それに、栄養を凝縮した食製品は何か”歪”だと感じました。

人間には栄養をバランス良く摂取しようとするセンサーのようなものが備わっています。

実際、ありったけの食べ物を冷蔵庫に詰め込み、子供に「好きなだけ食べて良い」という実験をしたところ、最初はお菓子ばかり食べるなど偏っていましたが、次第に修正して野菜などバランス良く食べ始めたのだそうです。

人間はもともと優れた『栄養センサー』が働いているため、このセンサーが壊れているのはストレスによる影響が大きいらしく、現代は肥満などの成人病が後を絶ちません。

私は完全食による生活も同じだと考えています。

完全食はバランス良く栄養を補った気にはなりますが、食べ物の中にある栄養を吸収する機能が衰えてしまうのではないかと懸念しています。

サプリメントや完全食はあくまで”サポート役”と考え、何事も偏らず、体内にあるセンサーを活かした食生活を送りたいですね。

そして5年が経過した現在では


※以下は2024年に加筆した内容です

やけにこの記事の閲覧数が増えていたので調べたところ、まったく同じ人が最近話題になっていたようです(笑)。


食事を見せてもらうと、「完全食」。最近はスーパーやコンビニなどでも見かけるようになり、その市場規模は右肩上がり。笠原さんは1日2回、ドリンクタイプの完全食とプロテインを混ぜたものを摂取するのみ。これだけで1日に必要な栄養をとっているそうで、約20秒で食事が終了する。

……ずっと続けてたんだな~と妙に感心してしまいました。

私は完全食の生活をとっくの昔に止めましたが、笠原さんは5年以上そのライフスタイルが定着しているため、興味深いと言えば興味深い。

また結婚したらしく、奥さんは普通の食事で自分は完全食なんだとか……周囲も合わせてくれるため理想的な生活を築いているようです。

タイトルにもあるように健康診断の件ですが、「中性脂肪がC。脂肪が少なすぎた」とのこと。

粉が中心の完全食なので、そりゃそうだと納得の結果です。

本人は「すこぶる健康」だと豪語しているため、慣れれば特に問題ないのかもしれませんが、管理栄養士のコメントでは以下のデメリットがあるようです。

・咀嚼が足りないため食べ物がちゃんと消化吸収できているか怪しい
・完全食は加工品で菌が入り難いため、善玉菌を摂らないと腸内環境が悪くなる
・完全食は全ての栄養素が摂れるように設計されているが、量としては1日分ではない

若いうちは大丈夫かもしれないが、将来的に体の不調が何かしら出る可能性があるといったところでしょうか?

こうして5年後に再び話題として取り上げられたので、おそらく彼が40代を迎える頃にまた取材があるかもしれません(笑)。

……やっぱりな~美味しいものは食べたいよね、完全食で食費が浮くのは魅力的だけど。

★2024年4月25日加筆・修正

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