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2020年1月6日月曜日

【翻訳】Google翻訳の精度は上がっているのか?


少し前にこんなTwitterのつぶやきを読みました。



この内容によると『Google翻訳』の精度がかなり上がっていると読み取れますが、本当に上がっているのでしょうか?

ちなみに、その学生さんはかなり英語ができるとのこと。

これが事実であれば「もうGoogle翻訳で英語の文章が書けるんじゃね?」と、思っちゃいそうですね。

…ではGoogle翻訳さんの実力を見てみましょう!

「では皆さんは、そういうふうに川だと言われたり、乳の流れた跡だと言われたりしていたこのぼんやりと白いものが、本当は何かご承知ですか?」
先生は、黒板に吊つるした大きな黒い星座の図の、上から下へ白くけぶった銀河帯のようなところを指さしながら、みんなに問いかけました。(宮沢賢治『銀河鉄道の夜』)

文学の中でも人気の高い『銀河鉄道の夜』の冒頭です。

翻訳しやすいように少しだけ句点や漢字を入れるなどして文章を変えています。

●Google翻訳
"So, do you really know what this dull white thing was said to be like a river or a trace of milk flow?"
The teacher asked everybody, pointing to a large black constellation hanging on the blackboard, like a galaxy band that was white from top to bottom.

Google翻訳さんに頼るとこんな感じです。

また、翻訳精度の高い『みらい翻訳』さんのお試しモードを使って訳してみました。

●みらい翻訳
"Do you really know what this pale white thing that was said to be a river or a trace of milk?"
He asked them, pointing to a large black constellation suspended on the blackboard, which looked like a white galaxy belt from top to bottom.

質問の語りで違うのは、「ぼんやり」をdullかpaleで訳しており、前者は「鈍い、冴えない、ぼんやりした」という意味で後者は「淡い、薄い、活気のない」という意味になります。

二つの翻訳を直感的に日本語へ訳してみると、「川かミルクの跡と言われている淡い白色のものを、あなたは本当に知っていますか?」という意味になりますね。

つまり「川」と「乳の流れた跡」の語りをまとめており、シンプルな文章として手を加えています。

また、次の文章も「星座の図」はconstellationと単なる「星座」としてまとめられ、「図」が抜け落ちていることから「大きな黒い星座が黒板に吊るされている」と訳される可能性があります。



…しかも次の文章も含め「pointing to(指して)」に絡めて直感的に日本語に訳すと、「黒板に吊るされた大きな黒い星座の、上から下に白い銀河帯のようなものを指しながら、先生はみんなに問いかけました」となります。

↑上記の翻訳はGoogle翻訳とみらい翻訳の結果を合わせた訳なので、実際はもう少し内容が違うと思いますが、概ねの意味はこんな感じですね。

乱暴な言い方をすれば、「とりあえず意味さえ分かればいいだろ」みたいな英訳です。

さらに適切な英訳を目指すのであれば、ツールが翻訳しやすいように文章を改変する必要があると思います。

では、実際にプロが訳したものを掲載します。

"Now, do you know what this long white thing is?" asked the teacher.
"Some people say it's a river. Other people say it's made a milk"
There was a large black map of the stars hanging on the blackboard.
He was pointing at something that looked like a white belt.
It went all the way from the to the bottom.

…うおお、メチャクチャ分かりやすい😲

原文のように句読点(カンマ)で文章をまとめていませんが、いくつか区切りを入れることで情緒的な余韻を残しています。

こうして比較してみると、現在の翻訳ツールは「表現」という意味で人間にはまだまだ劣るかなと。

約束事の多い商品マニュアルなどは得意かもしれませんが、文学作品などは人間の手が入らなければ、読み手が「?」となりそうですね。
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